ヴァンパイア†KISS
「……デュオ」

デュオは一瞬瞳を伏せ、もう一度その瞳を見開いた。

そして、さらに色濃く輝くように見えるそのバイオレットの瞳で、わたしを振り返った。

デュオは人差し指を伸ばしてルシアに噛まれたわたしの唇の傷の血をふき取ると。

彼の赤い果実を唇から零れさせて、その瞳にエクスタシーを浮かべ、血のついた指を舐めた。

「……ハ…ァ…くっ!」

デュオは快感のすぐあとで苦しげに瞳を細めると、唇から牙を零れさせたまま片手で首を押さえた。

「デュオ!大丈夫!?」

わたしが駆け寄ったその時。

デュオはわたしの後頭部を押さえると、そのままわたしの顔を彼の胸に押し付け抱き寄せた。

「デュ…オ?」

「……覚えておけ。私にエクスタシーを与えることができるのはお前だけだ。お前を抱けなくても、私はお前のタンゴ、お前の笑顔、お前の心から、エクスタシーを得ている」

「デュオ……!」

わたしはデュオの言葉が嬉しすぎて、なんの前触れもなく、涙を流した。

デュオはわたしの頭を放し、わたしの顎を掴んで顔を上げさせた。

「涙とは…美しいものだな。私はお前を完全なヴァンパイアには、したくない。恐らく、お前は簡単にはヴァンパイアにはなれないだろう…。この100年間でゆっくりと混ざり合ったお前の人間の血とヴァンパイアの血は決別することを拒絶している。……私はその血を…美しいとも思う」

「……デュオ…」

「お前をその腕に抱き、お前にエクスタシーを与えることができるのは、人間か、シエルだけだ」

デュオはそこでわたしを放すと背を向けた。

「カレン、私はお前をもう縛らない。お前の心が欲するままに、生きるがいい」

デュオはそのまま、ルシアの部屋をあとにした。

………デュオ……。



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