ヴァンパイア†KISS
「花恋、君はやっぱり……」

呆然とわたしを見つめるかずちゃんの表情がつらかった。

わたしはデュオの胸にもたれかかりながら、力なく言った。

「……そうだよ、かずちゃん。わたし、ヴァンパイアなんだ。……いつか、かずちゃんに噛み付くかもしれない」

「花恋……」

わたしは涙を零しながら、かずちゃんを見上げて言った。

「……別れて、かずちゃん」

かずちゃんはわたしから目を逸らし、ためらいがちに言った。

「…わかったよ、花恋。僕には、君を愛する覚悟は……ない」

……かずちゃん。

「ごめんね、かずちゃん」

デュオはわたしの肩を抱いて立ち上がらせると部屋の外へと連れ出した。

「……ふ……っく」

ドアの外で、わたしはデュオに肩を抱かれながら、声をあげて泣いた。

自分の体が、わからない。

自分の体がどうなっていくのかわからない不安で、胸が張り裂けそうだった。

……ただ、わかるのは。


―――――デュオが好きなことだけ…………。


デュオの胸にもたれかかりながら、

この胸だけは、離したくないと………。

どんなことになっても、



デュオを愛する覚悟が…………わたしには、あるから――――。






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