ヴァンパイア†KISS
「デュオ、雪だよ!」

わたしたちは長距離電車に揺られていた。

窓際に座るわたしの横でデュオが眠たげにこちらを振り向く。

「……雪?4月だろ」

「そうだよ、4月なのに雪!どうりで寒いと思った。これって奇跡かな…」

以前にウルフが人間たちとの闘いに出た時に4月の雪に遭遇したと聞いたことを思い出した。

ウルフはその時から、100年たった今もまだ生きている。

4月の雪が叶えてくれた奇跡。

ウルフは雪を見て、どんなことを願ったのだろう。

……わたしと、デュオにも奇跡は起きる……?

神様、多くは望まない。

どうか、一度でいい。

―――――デュオに抱かれたい………!

「カレン、なんで泣いている?」

デュオは気だるげにわたしの肩に腕を回す。

「……雪に、感動したの」

「…ほんとうに?」

「…ほんとうに」

デュオはふっと笑うと瞳を閉じてわたしの肩にもたれかかった。

「ヴァンパイアは昼間は眠いんだ。少し眠らせてくれ」

安心しきったようにわたしにもたれかかって眠るデュオが愛しくて。

わたしは寝息をたてて眠るデュオの額にキスをした。






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