ヴァンパイア†KISS
……デュオ………!!
ざわざわと広間中が大きなどよめきに包まれた。
わたしは身動き一つできずに5メートル先のデュオを見つめていた。
「カレン、おいで」
わたしは微かに首を振り、立ち尽くした。
だって、そんなの……無理だよ!!
ぽんと背中を押され振り向くと、カルロがいた。
カルロは笑顔でわたしを見上げると、
「デュオはどんなに細く複雑に絡まった糸でも必ずたぐり寄せる男です」
そう言って隣のエマと顔を見合わせ微笑んだ。
「……カルロ…」
わたしはゆっくりと、デュオへの愛を確かめるように彼へと近づいていく。
「…デュオ」
「カレン」
「デュオ、わたしがあなたの妻になるなんて、無茶だよ」
「なぜ?」
「……わたし、あなたに何もしてあげられない」
「完全なヴァンパイアじゃないから?」
「……わたし、あなたに抱かれることも…」
「……私は初めて会った時から、お前に惹かれていたんだと思う」
「え?」
「私が人間になれるものなら、なりたかった。髪を黒に染めたのも、お前に近づきたかったからだ。だが、私はヴァンパイアとしてお前を愛する覚悟を決めた。…お前を抱けなくても、私は後悔しないよ」
デュオが人間になりたいと思ってくれていたなんて……!!
「デュオ!!」
わたしは思い切りデュオの胸に飛び込んでいた。