ヴァンパイア†KISS
ガタン………。

風の音……?

デュオの腕の中で、わたしはその音に目を覚ました。

うっすらと瞳を開けると、デュオがベッドの上で背を向けている側の窓が開け放たれ、カーテンがゆらゆらと波打っていた。

そこから、ちらちらと小さな雪の花びらが吹き込んでくる。

「窓…開いてたっけ?」

目の前で眠るデュオを見ると、デュオは瞳を閉じ、寝入っているようだった。

もう真夜中の0時にはなっているだろうか。

暗がりの中、月明かりに照らされた窓のカーテンが揺れ動くその向こう側に、妖しく煌くバイオレットの瞳が映し出された。

……窓の外に、バイオレットの瞳!!

「…デュ」

デュオを起こそうとしたわたしの瞳に、もう既に瞳を開け、窓に背を向け横になったまま後ろに視線を送るデュオのバイオレットの瞳が映った。

デュオ……!!

揺れるカーテンの隙間から、徐々にそのバイオレットの瞳の正体が露になる。

ウェーブのかかった腰まで垂れる銀髪。

浅黒の肌に切れ長な瞳。

黒のマントに身を包んだその男は、ゆっくりと窓枠から床へと降り立つと、下を向いたまま立ち尽くした。

「……窓からいらっしゃらなくても、きちんと正門からお出迎えするつもりでしたが?………父上」

ちち…うえ!?

デュオのお父さんのユーゴ!?

デュオはそう言うとベッドの上に起き上がり、つられて起き上がったわたしの肩を抱き寄せ、ユーゴを鋭く見上げた。

「……ハァァァ」

ユーゴは獣のように息を吐くと、不気味なほどゆっくりと顔を上げ始めた。

完全に上げられた顔を見た瞬間、わたしの顔は氷のように凍りついた。







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