ヴァンパイア†KISS
ユーゴの瞳からは感情を感じないのに、氷のように冷徹なほどの冷気を感じた。

「父上、これ以上殺したヴァンパイアの血を食らえば、あなた自身の身をも滅ぼします」

ユーゴはデュオの言葉を聞くと、少し考えるように瞳を細め、それから一気に剣を引き抜いた。

「…ぐっ!」

「デュオ!!」

わたしが後ろからデュオを抱きしめた瞬間。

ユーゴの剣がわたしの顔の前に突きつけられていた。

「お…まえ…は、エヴァ……か?」

「…エ…ヴァ…?」

「人間の血の…混じった……不吉なにお…いが…する」

わたしは目の前でギラリと光る切っ先に唾を飲んだ。

「父上!彼女はエヴァじゃない!」

「その胸の…刻印……。なら…ん!デュ…オ、その女を…妻に…して…は…!」

ユーゴの一段と冷徹に光ったバイオレットの瞳が大きく見開かれた瞬間、その剣の切っ先がわたし目掛けて動き始めた。

わたしはその動きをひとコマひとコマ、スローモーションのように見つめていた。

剣の切っ先からわたしを護るようにデュオが体を剣の前に投げ出す。

その剣は針の先ほどの迷いもなく、デュオの心臓めがけて真っ直ぐに動く。

わたしの顔にデュオの美しい銀髪がフワリとかかり、わたしはその隙間からユーゴが無表情でデュオを貫こうとする様子を見ていた。




「………デュオ―――――――――!!!」






< 277 / 411 >

この作品をシェア

pagetop