ヴァンパイア†KISS
いつの間にかわたしの腕を掴んでいたシエルが、シーツの中から顔だけ出してデュオに向かって切なげに微笑んだ。

「デュオ兄さん、カレンを抱けなくてだいぶ体力を失ってしまったね……。悪いけど…僕はこの時をずっと待っていた。……カレンを護るには、僕が必要なんだ。僕は二人を引き裂いてでも、カレンを護る」

「カ…レン…!」

デュオが苦しげにベッドの下からシーツの中でシエルに抱きしめられているわたしを見つめた。

シエル……なんて力なの…!

15歳ほどの細い体には似合わない強い力に、もがいてもビクともしなかった。

「デュオ兄さん、ごめん。……カレンは、僕がもらうよ」

シエルはマリアのように澄んだ笑顔を見せた瞬間。

シーツをバサっとわたしとシエルの頭から被せた。

「……う」

シエルの唇が強く深くわたしの唇を塞ぐ。

…違う!!

今までのシエルのキスと……!!

シエルは強い力で、わたしの唇を大きく開かせると、一気に舌を入れわたしの舌に絡めた。

「…ん…ぁ…ハ…やめ…て…」

抵抗するほどに、強くわたしの中に入ってくるシエルに、わたしはもがくだけだった。

……ザシュ………!!!

シーツが切り裂かれる音に、シエルは驚いてキスをやめ振り返った。

真っ二つに切り裂かれたシーツがわたしとシエルの前でフワリと舞った瞬間。

わたしの目の前に、剣を振り上げ、激しくたぎるような瞳をシエルに向けたデュオが立っていた。

シエルは驚きの表情をすぐに笑顔に変えて感心したように微笑んだ。

「月に縛られた剣を抜き取ってしまうなんて、さすがだよ。デュオ兄さん」







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