ヴァンパイア†KISS
全員が採血を終え、神藤社長もドクターも城を出て行ったあと。
わたしは神藤社長の見送りを終え、デュオとわたしの部屋の前まで戻ってきた。
微かな月明かりに照らされて、銀色に艶光りする長い髪の毛が見えた。
……ルシア!!
ルシアは壁にもたれた体を起こすと、わたしをゆっくりと振り返った。
「…ルシア、どうしたの?」
ルシアは重たげに瞬きをすると、今にも消え入りそうな笑顔で言った。
「いいわね、あなたは。みんなに愛されていて…」
「…ルシア」
「わたくしを愛してくれるのは、お兄様だけ。でも、わたくしはそれでよかった。お兄様にさえ愛されていれば何もいらない。孤独も感じない。お兄様も同じだと思っていた。なのに、あなたが現れて、わたくしは気が狂いそうだった。たった一人の愛する人を奪わないで。わたくしにはお兄様しかいないのに…!」
「ル…シア…」
ルシアは白く透き通るような手を美しい銀髪に埋める。
「…でも、シエルに抱かれて気付いた。それは愛じゃない。孤独を埋めるための独占欲だと。シエルは優しかった。優しくわたくしを抱きながら、わたくしの心を溶かした。シエルは不思議な力を持っているわ。抱きながらその女性の心をまるごと包み込み、優しくその本心を剥き出しにする。彼に抱かれたあと、わたくしはしばらくからっぽだったわ」
ルシアは微笑んだ。
無垢な子供に還ったようなピュアな笑顔。
「お兄様もきっと同じ。わたくしを愛していたわけじゃない。わたくしの孤独を知っていた優しいお兄様は、わたくしの孤独を癒そうとしてくれていただけ。そう、百数十年もの間のわたくしたちの関係はそれだった。……もうそろそろ、お兄様を解放してあげなくてはね」
ルシアは微笑みながらゆっくりとわたしに近づくと、ふわりとわたしをその柔らかい体で包み込んだ。
わたしは神藤社長の見送りを終え、デュオとわたしの部屋の前まで戻ってきた。
微かな月明かりに照らされて、銀色に艶光りする長い髪の毛が見えた。
……ルシア!!
ルシアは壁にもたれた体を起こすと、わたしをゆっくりと振り返った。
「…ルシア、どうしたの?」
ルシアは重たげに瞬きをすると、今にも消え入りそうな笑顔で言った。
「いいわね、あなたは。みんなに愛されていて…」
「…ルシア」
「わたくしを愛してくれるのは、お兄様だけ。でも、わたくしはそれでよかった。お兄様にさえ愛されていれば何もいらない。孤独も感じない。お兄様も同じだと思っていた。なのに、あなたが現れて、わたくしは気が狂いそうだった。たった一人の愛する人を奪わないで。わたくしにはお兄様しかいないのに…!」
「ル…シア…」
ルシアは白く透き通るような手を美しい銀髪に埋める。
「…でも、シエルに抱かれて気付いた。それは愛じゃない。孤独を埋めるための独占欲だと。シエルは優しかった。優しくわたくしを抱きながら、わたくしの心を溶かした。シエルは不思議な力を持っているわ。抱きながらその女性の心をまるごと包み込み、優しくその本心を剥き出しにする。彼に抱かれたあと、わたくしはしばらくからっぽだったわ」
ルシアは微笑んだ。
無垢な子供に還ったようなピュアな笑顔。
「お兄様もきっと同じ。わたくしを愛していたわけじゃない。わたくしの孤独を知っていた優しいお兄様は、わたくしの孤独を癒そうとしてくれていただけ。そう、百数十年もの間のわたくしたちの関係はそれだった。……もうそろそろ、お兄様を解放してあげなくてはね」
ルシアは微笑みながらゆっくりとわたしに近づくと、ふわりとわたしをその柔らかい体で包み込んだ。