ヴァンパイア†KISS
カルロの笑顔には嘘がない。

ほんとうに嘘が一欠けらも見当たらない。

それは、彼の強さだろう。

どんなときも、「真実の笑顔」を絶やすことがない。

その場を取り繕ったり、自分を強く見せるための嘘の笑顔ではなく。

「ほんとうに僕は幸せだ」と笑う。

カルロの微笑みは、自分のためではなく、

全て彼の愛する人のため。

愛する人を幸せにするために、自分も幸せだと笑う。

彼はこの100年、ただ、ウルフとエマのためだけに微笑んできたんだ。

ふと、思い至った。

……カルロこそが、ほんとうに「孤独」なヴァンパイアなのかもしれない。

エマを女性として愛しているのに、エマがウルフ以外の人を愛さないこともまた知っている。

そして彼は、永遠に「10歳の子供」のまま、だ。

彼の想いは、永遠に報われることはない。

ウルフを慕う心がその孤独を押しとどめているのだろうけれど……。



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