ヴァンパイア†KISS
ザシュ……!!
激しい閃光が庭一面を波打つように覆った。
立っていられないほどの風がわたしのところまで押し寄せ、わたしは後ろに後ずさりながら目を腕で覆った。
……ゆっくりと目を開けると、窓の外は眩しいほどの白だった。
……雪?
妙な気持ちでわたしは窓の外を見やる。
白い、真昼に見える月のような光がオズワルドを包んでいた。
オズワルドは左目を苦しげに手で押さえながら後ずさっていた。
その目を覆う手の下から、真っ赤な鮮血が流れている。
両目を失ったオズワルドは状況が掴めないような顔で後ずさることしかできないように見えた。
途端、カルロのことをハッと思い出したわたしは慌てて階下を見下ろした。
白く霧がかかったような庭に、シエルが立ち尽くしていた。
その後ろにはうつ伏せに倒れるカルロとその胸の下から顔を覗かせて鳴いているエイダ。
シエルが苦しげに顔を歪めてつぶやく。
「…遅かった。月が満ちていれば、カルロを救えたのに…!」
救えた…のに…?
胸の底からこみ上げてくる不安を押しやるように、わたしはカルロを凝視した。
カルロの背中の十字に割れた衣服の切れ目から、みるみる鮮血が背中いっぱいに染み渡っていくのを見ながら、わたしの心は凍りついていった。
…遅…かった…?
「ハハハハ!!カルロはしとめたようだな。この月の力は…シエルだな?月が満ちていなかったことに感謝するよ。満ちていれば私は両目を失っていただろうからな!」
オズワルドはそう言いながら左目を押さえていた片手をゆっくりと離した。
その左目には三日月の形の傷がくっきりと浮かんでいた。
傷は潮が引いていくように徐々に形を失っていく。
激しい閃光が庭一面を波打つように覆った。
立っていられないほどの風がわたしのところまで押し寄せ、わたしは後ろに後ずさりながら目を腕で覆った。
……ゆっくりと目を開けると、窓の外は眩しいほどの白だった。
……雪?
妙な気持ちでわたしは窓の外を見やる。
白い、真昼に見える月のような光がオズワルドを包んでいた。
オズワルドは左目を苦しげに手で押さえながら後ずさっていた。
その目を覆う手の下から、真っ赤な鮮血が流れている。
両目を失ったオズワルドは状況が掴めないような顔で後ずさることしかできないように見えた。
途端、カルロのことをハッと思い出したわたしは慌てて階下を見下ろした。
白く霧がかかったような庭に、シエルが立ち尽くしていた。
その後ろにはうつ伏せに倒れるカルロとその胸の下から顔を覗かせて鳴いているエイダ。
シエルが苦しげに顔を歪めてつぶやく。
「…遅かった。月が満ちていれば、カルロを救えたのに…!」
救えた…のに…?
胸の底からこみ上げてくる不安を押しやるように、わたしはカルロを凝視した。
カルロの背中の十字に割れた衣服の切れ目から、みるみる鮮血が背中いっぱいに染み渡っていくのを見ながら、わたしの心は凍りついていった。
…遅…かった…?
「ハハハハ!!カルロはしとめたようだな。この月の力は…シエルだな?月が満ちていなかったことに感謝するよ。満ちていれば私は両目を失っていただろうからな!」
オズワルドはそう言いながら左目を押さえていた片手をゆっくりと離した。
その左目には三日月の形の傷がくっきりと浮かんでいた。
傷は潮が引いていくように徐々に形を失っていく。