ヴァンパイア†KISS
「ウルフのヴァンパイアエナジーはまだ感じない。冷凍保存を解かれれば、彼のヴァンパイアエナジーを感じるはずだが、まだのようだ。だが、急いだほうがいいだろう」

デュオは言いながら城へと向かって歩き出した。

「デュオ、待って!わたしが行ってくる。デュオたちは体力を温存しなきゃね!」

「カレン…!」

わたしは勢いよくデュオを追い越すと、城へ向かって走り出した。

なぜだろう。

なぜか胸騒ぎがする。

シエル……あなた、まさか……!!

夜の城はどこか物悲しく、孤独の寂しさが肌にまとわりつくようだ。

それを振り払うように息を乱しながら走る。

わかる……。

シエルの気持ちが伝わってくる。

シエルはきっとあそこだ……!

わたしの部屋へと続く塔の階段を全速力で駆け上がる。

速く、もっと速く…!

気持ちとは裏腹に足がもつれ、うまく前へ運べないのをもどかしく感じながら。

わたしはやっとの思いで自分の部屋のドアの前にたどり着いた。

ドアを開けようとしたその時。

中から人の息遣いを感じた。

今、中にいるのはカルロだけのはずだった。

やっぱり……シエルが……!?

「来ると思っていたわ。………シエル」

この声……ルシア……!!



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