ヴァンパイア†KISS
ガキ―――――ン!!!

火花が散るように剣と剣がぶつかり合う激しい音。

剣はぶつかり合いそのまま滑るように離れた。

カーラの銀色の編んだ髪がバサリと階段に落ちて転がる。

二人は、背中合わせになっていた。

月光がデュオの白い頬を照らし、うっすらと鮮血が左頬から流れるのを映す。

カーラの剣から薔薇の茎が伸び、デュオの剣に巻きつき、ギリギリと軋む音をたてていた。

二人はお互いの正面を見つめたまま剣を引き合う。

「デュオ様!!」

ブルースが叫んだのを合図に。

ザシュっという音をたてて、デュオが薔薇の茎を引きちぎりそのまま体を反転させカーラに斬り込んだ。

間一髪。

カーラは後方宙返りをすると、シエルやブルースを飛び越えて階下へと降り立った。

立ち尽くす彼女の額から鮮血が流れ落ちるのを認めると。

カーラは目を細め、舌を突き出しぺろりと舐め取った。

「デュオ様!僕も加勢します!!」

ブルースが剣を立ててカーラに向かって走り出したその時。

「ブルース!カーラに近寄るな!」

デュオが叫びながらマントを翻し、宙を舞った。

ニヤリと嗤うカーラ。

「デュオ様、なぜ、ジャンプを…?空中はあまりに無防備…」

わたしの前にいるルドルフがつぶやくのが聞こえた。

シエルが目を細めながら笑う。

「デュオ兄さんは、あの伸びる茎が危険だと気付いている。あの茎は、下手に間合いを詰めると危険だ」

空中から階下のカーラへと落ちていくデュオ目掛けて、カーラの剣から薔薇の茎が大蛇のようにうねりながらデュオへと放たれた。

「切り裂け!」

カーラの激しい叫びに目を覆いたくなりながら、伸び続ける茎がデュオへと近づいていくのをわたしは見ていた。






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