ヴァンパイア†KISS
やっぱりさっき嗅いだ香りはサラがいつもつけていた薔薇の香水だったんだ。

「サ…ラ、あなた本当に…ヴァンパイアになっちゃったの?」

サラは以前と姿は何も変わりがないのに、その視線や雰囲気から流れてくる色香は前以上だ。

ヴァンパイア特有の、セクシーなオーラ。

サラは真っ赤なシースルーのドレスの襟をめくり、首筋のキスマークを露にした。

「オズワルド様のキスは最高だわ。わたしが今までしたキスの中で最高に甘いキスをくれたの」

そう言って腕を組むと、先ほどホールドしていた男性に目配せした。

その金髪の大柄な男性は、鋭い牙を突き出し微笑んだ。

「その男の血、吸い尽くしちゃってもいいですか?サラ嬢」

男はサラの前に倒れているブルースを屈みこんで見つめる。

ブルースは両腕で体を押さえるように仰向けで倒れていた。

「ブルース、どうしたの!?」

「か、体がしびれるんです…。さっきのキス…にきっと毒がしこまれて……」

わたしがブルースに駆け寄ろうとしたその時。

サラが大きく瞳を見開き、右手を開いて前に突き出した。

真っ黒な何重もの……網?

最初は小さな円だったその網はだんだんと加速するようにその円を広げていく。

「これは………蜘蛛の巣!?」

サラの右手から、真っ黒な蜘蛛の巣のような網が飛び出し、わたし目掛けてその円を広げていく。

「カレン!!」

デュオの声が聞こえたと同時に、シエルが飛び出してきた。

「デュオ兄さんは休んでいて」

シエルはわたしの前に飛び込み、蜘蛛の巣に飲み込まれていく。

「……シエル!!!」









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