ヴァンパイア†KISS
ザシュ!!

ルドルフが目の前の男の首を斬り付けた瞬間、男はダンッと音を立てて背中から倒れた。

周りのヴァンパイアたちの荒々しい息遣いが聞こえてくる。

倒れた男は首から血を流しながらユラリ、と立ち上がった。

不気味な笑みがこぼれる。

「今までの女や人間上がりのヴァンパイアと同じと思われちゃ困りますね。我々は、もとはユーゴ様が集めた精鋭ですので。心臓を殺らなきゃねぇ…くっくっく!」

デュオが剣を構え、バイオレットの瞳を細める。

その剣を制するようにルドルフが剣を構えた。

「デュオ様、ここは私に任せて先をお急ぎください。私も、もとはウルフ様の集めた精鋭ですので心配はいりません」

「だが…」

「デュオ様!僕もルドルフとともに戦いますので、デュオ様は安心してウルフ様のもとへ!」

ブルースが剣を構えながらヴァンパイアたちの前へ進み出る。

「ブルース、お前…」

「大丈夫です!ウルフ様のお子のカレン様とシエル、お二人をウルフ様のもとへお連れするのは、デュオ様の役目です」

デュオはクっと笑い、ブルースに背を向けつぶやいた。

「ブルース、ずいぶん生意気な口を利くようになったな。……頼りないが、感謝している」

そう言ってシエルに目で合図し、わたしの手を引き走り出した。

「デュオ様!頼りないは余計ですよ!」

ブルースの明るい声が壁に反響してここまで届いてきたけど、デュオは構わずに上へと上がっていく。

デュオ、ブルースやルドルフのこと、心配だよね。

デュオの背中がそう言っている気がした。

ブルース、ルドルフ、ありがとう……。

どうか、無事で……!!

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