ヴァンパイア†KISS
病院の消毒液の匂いを嗅ぐのなんて久しぶりだなんて思いながら、どんどんと中へと連れ込まれていく。

あ、あれ?

受付しないんだろうか……?

「サラ、受付しなくていいの?」

「いいのよ。あなたはわたしの親友。VIPなんだから。もうパパには話は通してあるの」

「そ、そうですか……」

ザックリとわたしの不安を斬り捨てるサラにわたしは乾杯したくなる。

あいも変わらずのサラの強引な愛には手を焼くけれど、だんだんと麻痺して心地よくなってきたわ…。

エレベーターで上がってなんだかリッチな雰囲気のカーペットが敷かれているフロアへと案内されると、それまでとは打って変わって人の往来が少ないことに気付いた。

「サラ、このフロアはなんなの?」

「VIP用のスペシャルフロアなの。ここには金持ち連中しか来ないわね。今までにも女王陛下や、サッカー選手のピアソン、歌手のクレアなんてのが来院しているわ」

女王陛下に、ピアソンにクレア!?

超VIPじゃない!!

ぎゃー!

そんなボディガードをつけないと歩けないような皆々様と同扱いだなんて、あり得ないほど緊張しますが!

サラはそんなこともさらっと涼しげに言い放つと大理石でできているのかと思われるようなドアの前で立ち止まった。

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