ヴァンパイア†KISS
「…デュ…オ…」

霞んでいく視界の中で、シエルのバイオレットの光が一際大きく輝くのが見えた。

シエルの剣がオズワルドの胸に突き刺さっていく。

オズワルドは大きく体を震わせると、月を仰ぐように後ろに頭を垂れた。

「…シ…エル…まさか…貴様…に…」

そのまま瞳を開いたままオズワルドは動かなくなった。

その瞬間、シエルを照らす月光に、突然陰りが現れ、その闇はシエルの体を覆い始める。

「…シ…エル……!」

叫びたい。

シエルに伝えたい!

ユーゴがあなたの後ろに迫っていることを……!!

叫ぶ力すら失っていた。

……これは、血の発作だ!!

しかも、前よりももっと強く、激しい発作。

ユーゴが後ろからシエルを羽交い絞めにしようとするのを見た瞬間、わたしは壁にもたれている力さえ失い、崩れ落ちた。

……苦しい…!!

瞳を閉じ、激しい呼吸で悶える。

「…シエ…ル……デュオ…!」

わたし……こんなとこで…死んじゃう……の?

「…カレン!!」

「!?」

微かに瞳を開けると、刺された脇腹を押さえながら体を引きずり近づいてくるデュオが見えた。

彼は苦しげに息をし、険しい表情でわたしを抱きかかえる。

「デュ…オ…」


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