ヴァンパイア†KISS
「……ん…!」

デュオの血の味がする。

彼の血が、重ねられた唇から流れてくる。

でも………あの時とは何かが違う。

あの時はすぐに彼の血を体が受け入れ、鼓動も呼吸も整っていったのに。

……苦しい…!

わたしの体がまだ足りない、と。

体中が、もっともっと濃く甘い血を欲しているのが、わかる。

唇を離したデュオの声が微かに聞こえていた。

「…だめ…か。発作がもうそこまで進んでいたとは……!」

……もうだめ……だ……!

体中の血管が爆発しそう………!!

そう思った瞬間。

「カレン、君に私の最も濃く気高い血を」

……………!!!




……ゴクン…。

流れてくる血のあまりの甘さに、熱い涙が伝っていく。

太古から受け継がれてきたヴァンパイアの最も濃い血。

震える両手で、デュオの頬を包み込む。

ゆっくり、ゆっくりと、呼吸が整っていく。

甘いのに、切ない味。

整っていく鼓動は、わたしがデュオの命を吸い取っている音。

甘い血の味は、わたしがデュオの命を味わう苦い味。

デュオ………こんなのって、ないよ。




愛する人の命を…………


―――――――わたしが奪うなんて…………!!!





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