ヴァンパイア†KISS
デュオの心臓の血がわたしの体中に染み渡っていく。

整っていく呼吸の中で、わたしはそっと瞳を開けた。

同時に、デュオの長いまつ毛が重たげに動き、薄く開けられた彼の瞳がわたしを見つめる。

微かに潤んだような瞳。

彼はさっきまでわたしに口づけしていた唇に血を滴らせながら、笑う。

「…なんで、なんで笑うのよぉ、デュオ!!」

悔しかった。

わたしには自分の命を優先しろって言ったくせに、自分の命をこんなに簡単にわたしのために投げ出すデュオが……!

「カレン…私はそんな、すぐには…死なない…さ」

そのままデュオはわたしの胸に崩れ落ちる。

「デュオ!!」

「カレン様!!」

この声は……!

振り向くと、息を切らせ信じられないような表情でこちらを見つめるブルースの姿があった。

ブルースは意識を失っているデュオに駆け寄ると顔面蒼白になった。

「デュオ様……こんな…!」

「ブルース、どうしよう!!デュオが心臓の血をわたしに…!」

その瞬間、激しいバイオレットの光が放射され、その方向に顔を向けた。



「やめろぉぉぉおおお!!」

シエルが後ろから羽交い絞めにされ、首に咬みついているユーゴに抵抗するように激しい光を放っていた。

ユーゴが目を覆いながら、後ろへとよろめく。

「バイオ…レット・ムーン……。そのちか…ら、少し…いただいた…ぞ…」

首から流れる血を押さえ、息を乱しているシエル。

「シエル!!」

ユーゴがニタリ、と微笑む。

「そして…ガイアの鍵…を手に入れ…た…!私が……ヴァンパイア、の…王に…なる…の…だ!」

ユーゴはよろめきながら屋上の鉄の柵の上へ立つと、両手を空へ掲げそれを一気に下へと下ろした。

激しいバイオレットの風が巻き上がり、渦を巻いた。

バイオレットの炎が湧き上がると同時にユーゴは空へと身を投げる。





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