ヴァンパイア†KISS
ゴォォォォオオオオ………!!

炎が風と混ざって、轟音を立てる。

「……ぐ…」

意識を失っていたデュオがブルースの腕の中で、苦しげに息を漏らした。

炎はどんどん加速しながら城の屋上に広がっていく。

シエルと倒れているウルフと十字架に括りつけられたエマが、その真ん中にいた。

シエルが炎の中でエマを十字架から降ろそうと必死に動いているのが見える。

だが、シエルは力尽きたようにその場に倒れた。

炎の中で身動きがとれない3人。

わたしが、わたしが助けなきゃ……!

「ブルース!デュオと理事長を連れて逃げて!」

呻きながら倒れていた理事長はわたしの叫びを聞いて起き上がった。

「……花恋さん…私は……?」

状況が呑み込めない表情の理事長がわたしをじっと見つめる。

理事長はオズワルドが死んで正気に戻ったんだ。

それじゃあ、サラ……も?

「理事長、ここにいたらみんな死んでしまう!!5階のダンスホールにサラがいます!彼女を連れて早くここを出てください!!」

「カレン様!!あなたはどうする…」

そう言い掛けたブルースの表情が止まり、わたしの後ろを凝視した。

「……カルロ…!!」

……え?

振り返ったわたしの目の前に、カルロとルドルフが立っていた。

「…カルロ、あなた……意識が戻ったの!?」

カルロは柔らかい笑みをたたえると、首に掛かっている金色の十字架に触れた。

「この十字架が奇跡を起こしてくれたんです。目覚めて、いてもたってもいられずここに来たところをルドルフが見つけて連れて来てくれました」





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