ヴァンパイア†KISS
わたしはウルフたちを振り返り、そのオーラを必死で感じ取る。

ウルフはまだ微かに息がある。

エマもシエルもまだ、大丈夫だ。

炎がもう少しで彼らへの道を阻もうとしていた。

「カルロ、お願い!早くわたしをヴァンパイアに!!」

「…わかりました」

カルロの小さな手がわたしの首に触れる。

クっと顔を上げ、瞳を閉じ、その瞬間を待つ。

ヒヤリ、と触れる唇。

そして、鋭い痛みがわたしの首を突き抜けた。

「……は…ぐっ……う」

思わず漏れた声を唇をかみ締めて堪える。

「……ぐ…ジュ…ル……」

聞こえる。

血を吸われ、わたしが徐々に完全なヴァンパイアになっていく音が……!

血を吸われるのは、初めてなのに、懐かしい。

不思議な気分だった。

わたしはずっとずっと、この時を待っていたのかもしれない……!!

自分の中のもう一人の自分を感じる。

体の奥深くで息づいていたもう一人の自分を。

ママ、ほんとうだね。

ママが言っていたのはきっとこの瞬間。

わたしは、もう一人の自分が目覚める時を……


――――ずっと、待っていた…………!!!


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