ヴァンパイア†KISS

月の力

燃え盛るサラの城を抜け出して、5日がたっていた。

わたしたちは、ヴァンパイアの城へと戻ってきていた。

わたしとデュオの部屋をノックする音が聞こえる。

「カレン、入るわよぉ!」

この元気な声はサラだ。

サラはおもむろにドアを開けると、ベッドに横たわっているデュオを流し見ながら近づいてきた。

「デュオ様はまだ目覚めないの?」

「うん、わたしのキスでもだめみたいなの。どうしたらいいか、わからなくて…」

サラはポンとわたしの肩を叩き、

「大丈夫よ!わたしのパパもいるし!なんなら、わたしがキスしてみようか?」

「だ、だめぇ!サラ!」

「冗談よ、カレン。可愛いんだから~」

サラはオズワルドに噛まれた影響で彼に忠誠を誓っていた呪縛から解かれ、前のサラにすっかり戻っていた。

ヴァンパイアにはなってしまったけれど、サラは全く気にしていないみたいに元気だ。

サラのパパ、理事長もヴァンパイアになってすっかりヴァンパイアへの敵対心をなくしたみたいだった。

方法は違ったかもしれないけれど、欲しかった永遠の命が手に入ったことには間違いないのだろう。

あれから二人はダンスの練習に余念がない。

「ね、また今日も踊ってたの?サラ」

「当然よぉ!ブルースはワルツもキスも下手だけどね。でも、ま、そこがいいかな。最初からうまかったらしごきがいがないもの」

サラがワルツを踊るしぐさで部屋を出て行く。

ありゃまたブルースが骨を焼きそう。

サラはブルースをバカにしているわりには、ブルースを毎日のように連れまわしている。

……わかりやすいんだから。

クスリと微笑んで、眠るデュオを振り返る。





< 355 / 411 >

この作品をシェア

pagetop