ヴァンパイア†KISS
ガイアの奥へ奥へと入って行く。

わたしはデュオの手に引かれながら、岩だらけの壁から身を護るように体を縮こまらせて歩いていく。

辺りは真っ暗で道の先から微かに明りが漏れていた。

奥へ行けば行くほど先ほどの血やバラの香りが濃くなっていく。

「バラの香りが強くなっていく…」

香りの出処が気になり声を漏らしたわたしをデュオが振り返り答える。

「100年閉じられていたからな。湿ったカビ臭さを取り除くためにバラの香りを放っているのだろう」

「それって……エマたちが?」

「おそらく。……だが、こうバラの香りが強いとウルフたちのヴァンパイアエナジーを嗅ぎ取ることができないな…」

デュオが目を細め洞窟の先を見つめる。

…ほんとうだ。

わたしにも感じ取れるようになったウルフたちのヴァンパイアエナジーを感じられないことに気付いた。

「ウルフたちはほんとうにこの奥にいるのかな?」

コツン……!

デュオの靴先が岩の上とは違う音を鳴らした。

「床が…!」

下を見ると、地面が一面タイル張りの廊下に変わっていてそこからちょうど洞窟が広くなり、わたしとデュオが並んで歩ける大きさに広がっていた。

「ここから先はヴァンパイアたちの寝室が散らばっていて、その一番奥が、巨大ダンスホール『ヴァンパイア・キス』だ」

「……ヴァンパイア・キス…!!」

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