ヴァンパイア†KISS
ギ、ギ、ギィィ……と重々しい音をたてて開かれるヴァンパイア・キスへの扉。

それをじっと見つめるわたしの瞳に輝かしく眩しいほどの照明が飛び込んできた。

「これが……ヴァンパイア・キス……」

明るく軽やかなワルツの音楽。

それに心躍らせるように踊る30組ほどのヴァンパイアたちのカップル。

白や赤の色とりどりのドレスの女性。

彼女たちを舞わせるように軽やかにステップを踏む男性たち。

100組は踊れるだろうそのダンスホールで優雅に踊る彼らを照らし出すかのように太陽のような光を注ぐ数々の照明。

全てが、時代を超えて中世に戻ったかのようなその優雅な浮遊感。

あっけにとられたように目を見開いて見つめるわたしの横で、デュオが微かに声を震わせて言った。

「どういうことだ…?まるで昔に戻ったみたいだ……」

「…デュオ?」

「これでは、まるで……!!」

その時、ダンスを踊るヴァンパイアたちの中を掻き分けるように一人の男性が近づいてきた。

「デュオ様!!」

肩ほどまでの銀髪を一つにまとめた青の瞳の青年。

「……ブルース!!」

思わず声をあげたわたしにブルースはにっこりと笑みを作る。

「……デュオ様、この方は……?」

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