ヴァンパイア†KISS
理事長の話を聞いて昨夜のヴァンパイアが口走ったセリフを思い出した。

『人間の血など、けして欲しいなどとは思わなかったが……』

理事長が語るヴァンパイアの習性と昨夜のヴァンパイアがピタリと重なる。

それと同時に、自分がヴァンパイアなのでは、という不安が頭をよぎった。

けして人間の血を欲しがらないヴァンパイアが、わたしの血を欲した。

それはつまり………わたしもヴァンパイアだということ………!?

眉をしかめて、唇を震わせているわたしに気付いた理事長は、イスから立ち上がるとドアへと向かって歩き出した。

「検査も終わったし、結果は後日連絡させていただくよ。長居させて済まないね」

病室を出て行こうとする理事長をわたしは慌てて追いかけると、彼の腕を掴んで必死で叫んでいた。

「ヴァンパイアは、い、今も、存在しているのですか……!?」

真剣な表情に理事長の顔が少し強張ったけど、構わずに問いかけた。

「もし、いたとしたら、理事長は……人間はどうするのでしょう…?」

「………」

理事長は優しくわたしの腕を掴んで下へ降ろすと、沈黙を破って話し出した。

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