ヴァンパイア†KISS
いつかの、デュオの声が胸に甦ってきた。

『タンゴは、一つになる心だ。情熱のままに、心を溶けあわせ、相手も自分も愛の中に埋(うず)もれる瞬間、心は至福の快感に満たされる』

一つになる心。

至福の……快感。

――――――エクスタシー!!!



デュオ、この快感を味わえるなら、



…………わたしは、たとえ場末の娼婦でも構わない!!




金糸の髪を振り乱し、誘う男に応える。

『あたしは、ここよ』

脈打つように速まるビートに体をくねらせ、男の愛撫を誘う。

『あたしに触れたければ、狂うがいいわ。狂って狂って、あたしを狂わせなさい』

息を呑む男の甘い喉。

『その血を吸って、全てをあたしのものにしよう』

誘う女の体を、男が食らいつくように引き寄せる。



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