ヴァンパイア†KISS
ユーゴの呻きがだんだんと大きくなり、地の底から這い出てくるような不気味な呻き声にヴァンパイア・キスが満たされる。

その周りでヴァンパイアたち、エマやブルースやサラまでが頭を押さえ苦しみだした。

「エマ!!どうしたの!?」

苦しみ、ウルフの胸の中で震えるエマの肩に触れ問いかける。

「……バイオレット・ムーンの力…だわ。月の力に護られていないわたしたちはユーゴが放出する月のエナジーに耐えられ…ない……」

ウルフがエマを護るように抱きしめ、わたしとデュオを見た。

「デュオ、エマや皆を連れてヴァンパイア・キスを出ろ。このままでは皆の体がもたない。ここもまもなく消滅するだろう」

「ウルフ!?」

わたしが叫ぶと同時にデュオが静かに口を開いた。

「ウルフ…あなたはどうするつもりだ?父上と運命を共にするつもりか」

ウルフは自嘲気味に笑う。

「ヴァンパイア・キスを消滅させるわけにはいかない。私は最後まで残って阻止する。君達は早くここを出ろ」

ウルフ……そんなことをしたら、やっと…やっとエマと再会できたのに……!!

ウルフの言葉を聞いて、息も絶え絶えに彼の胸の中で彼を見上げるエマの表情がとても切なげに歪んだ。

苦しげに息を吐き、愛しい、愛しいウルフを見つめる。

……エマの瞳に今にも溢れ出しそうな涙が溜まっていた。







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