ヴァンパイア†KISS
草を削るように足を引きずり這い出てきたユーゴが一瞬止まった瞬間。

わたしは飛び込むように石でできたガイアの扉に手をかけようとした。

一瞬、何が起きたのかわからなかった。

「………ん…!」

エクスタシーが流れ込む。

とてもよく知っている甘い…甘い果実の味。

わたしの大好きな……デュオ、あなたの―――!!!

瞳を開けると、デュオが艶っぽい唇を少し開きながらわたしを見つめ、ガイアの穴の中からその両腕で、わたしの顔を引き寄せていた。

少し、怒ったようなそのバイオレットの瞳。

「カレン、私を護ろうなんて、100年早い」

「……デュオ…」

デュオは口の端を上げて艶っぽく微笑むと、物憂げな瞳で見つめ、白い牙を覗かせた。

「キスの刻印ができて、一人前のヴァンパイアなんだよ」

ヒヤリ、と首に柔らかいソレが触れる。

最初は触れるように、そして徐々に吸うように。

「……あ…ん…」

……ずるいよ、デュオ。

これじゃ、何もできない。

デュオのエクスタシーは……いつだって、ずるい……。

キスの刻印を受けながら、頬を伝って落ちる涙。

予感がする。




―――デュオ、こんなの…………嫌だよ…………!!!!










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