ヴァンパイア†KISS
ガリッ…………!!!

血の匂いが夜の草原に薫る。

デュオがわたしの血をすする音が聞こえる。

「…デュ…オ…」

やっぱりデュオはそうする気だ。

嫌だ……嫌だよ…デュオ…!

「デュオ…い…や…!」

わたしの甘い血の匂いに誘われて、立ち止まっていたユーゴがこちらに歩き出す気配を感じた。

グチュ………!!

その瞬間、デュオがわたしの喉から牙をはずし、厳しい表情を浮かべ、ユーゴを見上げた。

バッと音を立て、デュオは跳ね上がるようにガイアの入り口から外へと飛び出した。

ユーゴはデュオに向き直り、「ぐぉおおおおお!!」という雄たけびをあげ、襲い掛かった。

「デュオ!!!」

ドンっと突き飛ばされたと思った瞬間、わたしはガイアの穴の中へと落ちていた。

小さな扉の隙間から、デュオに襲い掛かるユーゴの姿が見える。

デュオは唇についたわたしの血を指でふき取ると、その手でガイアの扉に触れた。

「カレン、100年後だ。それまでに、一人前のヴァンパイアになれ」

ガガ…と音をたてて閉じられていくガイアの扉。

「デュオ!!!」

扉の小さな隙間から、

最後に、わたしの一番大好きなデュオの表情が見えた。



わたしの大好きな…………月のようにミステリアスなデュオの微笑み。














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