ヴァンパイア†KISS
彼のエナジーを感じながら、教会近くの地下牢の奥深くまで突き進む。

感じる。

100年ぶりに感じる……愛しい人のエナジー。

彼は、ここにいる。

エマが100年眠っていたこの地で、彼はわたしを待っている。

牢の手前まで来た瞬間、懐かしい鳴き声が聴こえた。

「……ニャァ」

小さな牢に、バラの香りと、黒猫の鳴き声。

黒猫は、わたしを見ると嬉しそうに足に擦り寄ってきた。

屈みこみ、猫を抱きしめる。

「…エイダ………デュオを護ってくれていたのね…?」




バイオレットのバラの香りがする小さな地下牢に置かれた漆黒の棺おけが一つ。

わたしはゆっくりとその蓋を開ける。

地上に出た瞬間、あなたの思念を受け取った。

100年前、バイオレット・ムーンの力に耐え切れずに、その力を爆発するように放出し、散っていったユーゴ。

その爆発を受けて、デュオ、あなたは倒れ、この地までやってきた。

…………100年間眠り、エクスタシーを与えてくれる人を待つために。






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