ヴァンパイア†KISS

キスの特効薬

「キスの後遺症」という言葉でもやもやしていたわたしは、理事長が出て行って少したったところでやっと我に返り重々しい病室のドアを開けて外へ出た。

病室を出るとドアのすぐ横に、サラが壁に寄りかかるようにして腕を組みながらわたしを待っていた。

サラはわたしの顔をじっと見つめると真面目な顔で話し出した。

「パパがとりあえず鎮痛剤を出してくれるって。でも薬じゃ治らない種類のものかもしれないってパパが言うのよ。カレン、そんなに具合が悪いの?」

ど、どうしよう……。

サラになんて言えばいいの?

そ、そうよ!

ここは思い切って半分冗談で誤魔化すのよ!

「サ、サラ。わたし…キスの後遺症みたいなの。昨日のキスが忘れられなくて、頭がクラクラして体全体が熱いのよ」

上目遣いな上に、しなっとした女口調で言ってみると、サラはきょとんとした顔でこっちを見る。

ちょっと冗談が過ぎたかなと、慌てて「な~んて!」と付け加えようとしたところに。

「な~んだ、早く言ってよ」

なんて最後にハートマークがぶら下がっていそうなトーンのセリフが聞こえてきた。

え?

「それじゃさっそく行きましょうか!」

え?え!?

「い、行くってどこへ!?」

サラは唇をキスの形にとがらせて「ちゅっ」っと鳴らすと、

「キスの後遺症にはキスをするのが一番、でしょ?」

………。


ぎゃぁああ!!

わたしのバカ~!!



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