ヴァンパイア†KISS
1週間、大学の講義はほとんどなく、わたしはほとんどを寮ですごしていた。

頭痛がいっこうによくなる気配がなくて、慢性的な痛みが徐々に増していくような気がした。

サラのパパの病院からは検査結果が送られてきたけど、異常は何もないという予想通りの結果が帰ってきただけだった。

でも、彼のことを想えば想うほど、頭痛はさらに増し、眠れない夜が続いた。

おかげであの不思議なヴァンパイアの夢をみることもなく。

わたしは、ヴァンパイアが言ったように、

まるで廃人になってしまったのではないか、と自分を疑うほどに。

彼を想うこと以外は胸の中は空っぽで、何も手に付かない毎日だった。

わたし……どうしちゃったの…!?



そして、そんな状態のまま約束の1週間後を迎えた。

月がわたしたちを緩やかに照らす夜。

「カレン、こっちよ!」

具合の悪そうなわたしを気遣うようにサラがわたしを誘導する。

「ここは……?」

サラが案内してくれたその場所には、大きな庭付きの邸宅がそびえていた。

イギリスの中でも金持ちな家々が並ぶ通りで、その邸宅は3階立ての上品なたたずまいでわたしたちを迎え入れた。

「ここにあのモデルの銀髪くんが住んでるのよ。わたしもまだ電話でしか話してないけど、楽しみね。ま、カレンはどーんとこのモデルのサラに任せていればいいのよ!」

逞しげに胸を張ったサラがなんだか頼もしかった。







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