ヴァンパイア†KISS
「………大丈夫?」
肩をぽんと叩かれたわたしは座ったままで後ろを振り向いた。
……黒髪。
見上げると、黒髪の肩より下まで伸びる長髪を首の後ろで束ねた男性が心配そうに眉を寄せて立っていた。
男性は色白の細い顎を傾けると、青い瞳でわたしを覗き込んだ。
「冷や汗が出てる。具合悪そうだね。少し外の空気を吸ったほうがいい」
男性はおもむろにわたしを抱き上げると、外の空気が吸えるテラスへと歩き出した。
「あ、あの、降ろしてください。大丈夫ですから!」
慌てて制止するわたしのことは全く構わずにスタスタと人の波を潜り抜けて歩き続けると、テラスのドアを開けてわたしを外へと連れ出した。
5階のテラスから見える星空はすごく綺麗で、具合が悪くなければとてもロマンチックな光景なのに、とちょっぴり残念に思いながらも、冬の寒さにぶるっと体が震えた。
「これ、使って」
男性はわたしをテラスのイスへ降ろすと、来ていたタキシードの上着をわたしの肩にかけた。
「あ、りがとう」
とても優しい雰囲気のその男性はそのままわたしの隣に腰掛けると、星空を見上げた。
人の群れから開放されたわたしは、さきほどよりも具合が良くなってくるのがわかった。
やっぱり、人の群れが怖いみたい……。
肩をぽんと叩かれたわたしは座ったままで後ろを振り向いた。
……黒髪。
見上げると、黒髪の肩より下まで伸びる長髪を首の後ろで束ねた男性が心配そうに眉を寄せて立っていた。
男性は色白の細い顎を傾けると、青い瞳でわたしを覗き込んだ。
「冷や汗が出てる。具合悪そうだね。少し外の空気を吸ったほうがいい」
男性はおもむろにわたしを抱き上げると、外の空気が吸えるテラスへと歩き出した。
「あ、あの、降ろしてください。大丈夫ですから!」
慌てて制止するわたしのことは全く構わずにスタスタと人の波を潜り抜けて歩き続けると、テラスのドアを開けてわたしを外へと連れ出した。
5階のテラスから見える星空はすごく綺麗で、具合が悪くなければとてもロマンチックな光景なのに、とちょっぴり残念に思いながらも、冬の寒さにぶるっと体が震えた。
「これ、使って」
男性はわたしをテラスのイスへ降ろすと、来ていたタキシードの上着をわたしの肩にかけた。
「あ、りがとう」
とても優しい雰囲気のその男性はそのままわたしの隣に腰掛けると、星空を見上げた。
人の群れから開放されたわたしは、さきほどよりも具合が良くなってくるのがわかった。
やっぱり、人の群れが怖いみたい……。