ヴァンパイア†KISS
「カレン」

「……カレン。覚えておこう」

デュオはそのまま表情も変えずホールへと顔を向けると、ルシアを連れて歩き出した。

ルシアは歩き出す前のほんの一瞬、わたしを振り返ると。

バイオレットの瞳で氷のように冷たい視線をわたしに送った。

でもすぐにわたしから目を離すと、デュオと一緒にホールの中央へと優雅な足取りで歩いていった。

……ものすごく絵になる二人だった。

彼女はデュオをお兄様と呼んだけど、兄妹?

兄妹というにはあまり似ていなくて、どちらかと言うと恋人同士のような雰囲気をまとっていた。

言葉なんかなくても心が通じる、お互いのことがよくわかっている。

そんな関係。

デュオが彼女を気遣っていた雰囲気もなんとなく伝わって。

なんだか胸が少し、チクンと痛んだ。

それに、彼女のあの冷たい視線……。

あれは、人間が嫌いだから…?

それとも……。





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