ヴァンパイア†KISS

宴のあと

この夜の宴は、人々の快楽と優美な夢とともに幕を閉じた。

理事長のお開きの合図とともに人々は散り散りに一夜の夢の城をあとにし、帰路についた。

わたしはというと、サラに誘われこのお城のサラの部屋に一晩泊まらせてもらうことになった。

デュオはいつの間にかルシアやブルースとともに姿を消し、わたしには彼の刻印だけが残った。

ヴァンパイアがあんなに美しいなんて。

今までデュオと会った2回とも暗闇の中が多かったから、ダンスホールの煌びやかな照明の中で初めてデュオの透けるような肌の色、しなやかな筋肉のついた肢体を見たとき、わたしは息を呑んだ。

それにルシア。

彼女の清楚な雰囲気は美しさを主張するだけでなく、知性と高貴さをそのオーラで振りまいて人々を魅了していた。

永遠の命をもつというヴァンパイア。

永遠にあんなに美しいなら、それはなんて奇跡だろう。

でももしそんなヴァンパイアが人間に恋をしたら?

年老いて死に近づいていく恋人をヴァンパイアはどんな気持ちで愛し続けるのだろう。

……やっぱり、人間とヴァンパイアは別の種族で、愛し合うのは禁忌なのかもしれない。

「デュオ、あなたは人間を愛したことがある……?」

思わずつぶやいたわたしに。

「ん…なぁに?カレン……」

隣のベッドで眠るサラが寝ぼけ眼で反応した。

「なんでもない。もう寝るね…」

そしてわたしもサラもそのまま眠りについていった。






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