ヴァンパイア†KISS
これは……ヴァンパイアの視野?

わたしはもしかして、ヴァンパイアに近づいている……?

まさか……!!

今までこんなことはなかった自分に驚きながら、夜目を頼りに地下への階段をゆっくりと降りていった。

下へ降りるほど、その音が近づいてくるのがわかった。

進めば進むほど廊下は狭くなり、ついには一人しか通れないような幅になった。

そして、一際水音が大きくなったところで立ち止まると、そこには分厚くて硬い牢屋のような鉄の扉が立ちふさがっていた。

これ以上先には行けないみたい……。

扉を見回すと、扉の真ん中に丸く指の先ほどの小さなフタがあることに気づいた。

わたしはそれを慎重に開けてみる。

すると、中の部屋の明かりがこちら側に漏れてきて、中で人影がうごめくのが見えた。

………理事長!!

理事長はわたしに背中を向けて立ち、細いチューブがたくさん巻きついている鉄の塊のような装置をくいいるように見つめていた。

「血……血なんだ…ヴァンパイアの永遠の命の秘密は……」

理事長はそう言うと自らの腕をメスで切り、そこから滴る血を装置の受け皿のような場所に流しいれる。

すると装置に巻きついているチューブに血液がすごいスピードでひた走った。

「……う」

わたしは薄気味悪さを感じ両手で口を押さえた。




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