三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零


「それから、
これも黒蛇組の話なんだけど」


オーナーは着物の袂を整え
声を潜める。


「最近黒蛇組の縄張りで
少年犯罪が横行してるそうよ」

「少年犯罪、かい?」


親父がウィスキーを
口に含んでから聞き返す。


「ネットの掲示板で
少年たちを呼び込んで
振り込め詐欺とかに
加担させてるんじゃないかって噂」


黒蛇組の名前さえ聞いたことないから
縄張りがあることにも驚いた。


「悪いニオイがするねぇ」


親父はそう言って
目を光らせた。

< 12 / 36 >

この作品をシェア

pagetop