三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
「あぁ、言わないよ」
親父が静かに言った。
「リリーはね、
母親と二人暮らしを
しているんだけど、
母親が無職なのよ。
だから、生きる為に
ここで働いているの」
リリーが煙草を灰皿に押し付け
再び口に銜える。
それから黒いドレスに落ちた灰を
払う動作をした。
金色の髪を肩に流し
露出の多いドレスを着たその姿は
落ち着いた雰囲気を漂わせてるが
まだ若いようにも見える。
もしかしたら、
俺と年が近いかもしれない。
「気になる?」
いつの間に移動したのか
オーナーが俺の隣に座っていた。