三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
【2】 生きる為
【百合side】
薄暗い路地を抜け、
繁華街の奥に進む。
暴走族がたむろする道を
通っていると、
彼らがひそひそ話す声が聞こえた。
「見ろよ、学生だぜ?」
「こんな時間に出歩いてるってよ」
「相当なワルだな」
何とでも言えばいい。
私は下唇を噛みしめた。
携帯電話を見ると、
時間は日付が変わる数分前だった。
ギリギリだ。
道を左に曲がり、
ネオンが光る風俗店の前に立つ。
ここが、私の職場だ。
キャバクラと風俗店。
その二つの店を掛け持ちで
バイトしても、お金は
不十分だった。