三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
第1話 「闇の世界」
【1】リリー
カラン、と音を立てて
グラスに氷が入る。
「ったく親父。
何で17になったばかりの俺を
こんなところに連れてくるんだよ」
俺の言葉をスルーして
親父は涼しい顔でウィスキーを飲んだ。
無視かよ。
俺はオレンジジュースを
一息に飲み干す。
…甘ったるい。
「ここは、闇の世界の情報が
たくさんある場所だから、かな」
親父が静かに言ったところで
隣に腰かけていた派手なドレスの女が
席を立った。
「少し待っててね」