三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
頭の禿げたサラリーマンが
オドオドした様子で呟いた。
私は衣装の上に
パーカーを羽織りながら
「こうでもしてなきゃ、
やってらんないのよ」
と告げた。
彼と会うのは数回目で
彼は慣れた手つきで財布から
お金を取り出し、
私の足元に置いた。
それからシャツを羽織る。
「若いのに、
こんなことしていたら
体を壊してしまうよ」
と説教じみたことを
口にしながら彼は
ズボンを穿いた。
「それをあなたが言う?
それにこの仕事は体がどうなろうと
生きてくための手段なの」
ほっといて。
とは突き放せなくて
私は髪をかきあげた。
それから、煙草を指で挟み
煙を口から吐き出す。
サラリーマンは
その煙にむせた。