三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零


「あぁ、
わかってるよ、

出て行くよ」



彼は慌てた様子で言って
ズボンにベルトを通した。

そして、ベッド脇の
荷物を持って
部屋を出て行く。

いつの間にか、
私が煙草の煙を吐き出すのが
タイムアップの合図になっていた。

私は吸い始めたばかりの煙草を
灰皿に押し付けた。

先端から灰が出て
灰皿が一気に汚くなる。


部屋を出ると、
オーナーが姿を現した。


「もう三時よ。
アンタが帰る時間でしょ?」


待ってる客は
追い返したから。

と彼女は言って、
私の肩を叩く。

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