三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零


彼女のもう片方の手には、
茶色い封筒が握られていた。


「今日はボーナス日だからね、
いつもより少し多めに入れてある。

…その金で、少しは
まともな生活を送りなさい。

少なくとも、
学生らしい生活をね」


あなたに雇われてる時点で
学生らしいまともな生活なんて
無理だと思うけどね?

私は黙って封筒を
受け取った。

ロッカーで着替え、
スクールバッグに封筒と
客から受け取った
お小遣いをしまう。

裏口から外に出た。


「…何よ…雨降ってるの?」


店の外は少し雨が
降っていて肌寒い。

私は給料入の封筒の
中身を確認した。

福沢諭吉が六人
入っている。

お小遣いを含めて
8万円ね。


「結構稼げたけど…
あの女がどのくらい

奪っていくか…ね」

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