三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
カバンに封筒をしまい直し、
私は雨の降る繁華街へ
足を踏み出した。
家に着く頃には
雨は土砂降りになっていて
体はびしょ濡れに
なってしまった。
「これ…どのくらい
寝れるんだろう」
私は思わず呟く。
五時間後には、
家を出ないと
学校に間に合わない。
あまり寝る時間は
残されていない。
それだけは、はっきりとわかった。
「まぁ、もう、馴れたけど」
私の独り言に
反応する声はない。
キャバクラと風俗店を
掛け持ちしているせいで、
学校から帰宅すると
すぐに仕度をしなければならない。
昼寝の時間なんてないし
誰かと出かける時間もない。