三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
「…アイツ、いるんだ」
私は呟いた。
吐き気と頭痛が酷くなる。
「帰ってないと思ってたけど」
何で今日に限って?
せめて今日じゃなければ
よかったのに。
あの女は、
私が稼いだお金で男に貢ぐ。
だから、いつも家にはいない。
ホテルにいるか、
どこかの男の家で潰れているか、
大体はそんなんだ。
ボーナス日の今日に限って、
まさか家にいるなんてね。
私は頭を押さえる。
びしょびしょの
スニーカーを脱ぎ、
私は家に上がった。
ゆっくりと階段を上る。
2階の廊下の突き当たりにある
自分の部屋のドアを開けた瞬間、
私は思わず手で口を押えた。
吐き気がこみ上げる。
あの女が、私のベッドで
男と眠っていた。
「…んでっ…」
何で……!