三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
私が黙ってると
女と今夜を共に過ごした男が
ベッドから出てきた。
下着姿のその男は、
私に近づいてくると、
いきなり手を挙げる。
咄嗟に目を瞑ると
頬に鈍い痛みが走った。
「…っつ!」
「そのカバンに
入ってるんだろ、金。
オマエがよこさないなら
無理矢理出させるだけだ」
女が低い声で
ゆっくりと言う。
本当に、悪魔だ。
視界が涙でにじむ。
私は、悪魔と男を睨んだ。
途端、また頬に鈍い痛みが走る。
「渡す…わけないでしょ!」
言った途端、
男が足を振り上げる。
抗うことも許されず
今度は腹に激痛が走った。
私は床に突っ伏する。