三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
彼女はそう言い、
赤色の煌びやかな壁の奥へ
姿を消した。
俺は改めて
周りを見回す。
煌びやかな装飾の施された
薄暗い空間。
派手な化粧をして、
ドレスアップした女たちが
その空間を支配している。
赤や黒の革製ソファには
女たちに囲まれて
顔をニヤつかせる会社帰りの
サラリーマンたちがいる。
そう、ここはキャバクラ。
俺みたいな未成年は、
本来なら立ち入り禁止だ。
「この後、風俗店に行くのも
情報探しにはうってつけ
なんだけどな」
親父はそう呟いて
ウィスキーの入ったグラスを
テーブルに置いた。