三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
もしかしたら、
あの悪魔が家の中に
いるかもしれないと思ったから。
だけど、
家の中は静まり返っていて、
あの女どころか、
私以外の生き物は
何も存在していないように感じた。
私は痛む体を
無理に動かし、
中身の散らばったカバンを手元に寄せた。
「アイツ等…
派手に散らかして…」
少し埃の溜まった床の上に
転がっている財布をカバンにしまう。
学校の用意も床に散乱してるのを
一式しまい、
私はカバンに物をしまう手を止めた。
「…やっぱ、ない」
数時間前にもらったばかりの
給料が入った茶色い封筒は、
忽然と姿を消している。
あの女が持って行ったに違いない。
私はため息をついた。
それから、カバンにしまった
学校用のノートを開く。