三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
リリーは歩道橋を渡り、
銀行へ入って行った。
こんなところに
銀行なんかあったのか。
俺は欠伸をしながら銀行を眺める。
徹夜のせいか、目が痛い。
俺が所属する
竜王組のアジトからは
少し離れているせいで、
この辺りにどんな建物があるのか、
俺にはよくわからない。
と、その時。
俺のポケットの中で
スマホが振動した。
俺は慌てて、
スマホの画面をタップして
応答する。
「何だよクソババァ」
「クソババァ、
じゃないでしょ。
ちゃんとお母さんと呼びなさい!」
スピーカーから、
クソババァの怒鳴り声が聞こえた。
でけぇ声。
俺は慌ててスマホから
耳を離し音量を下げる。
「そんなに怒鳴るなよ、
クソババ…じゃねぇや、母さん」