三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零
んー、
母さん、なんて響きは
妙に違和感がある。
やっぱり、
クソババァの方が呼びやすい。
「アンタ、何で夕べ
帰ってこなかったのか
説明しなさい!
まさか、風俗店に
入ったんじゃないでしょうね!」
げっ、まだ声でけぇ。
歩道橋を通るサラリーマンが、
ギョッとしたような顔で
俺の方を見る。
「入るかよ!
つか大声で言うな!
通行人が俺を
変な目で見てくるからやめろ」
俺が言うと、
クソババァは「いい気味」と
笑いながら言った。
はぁー……。
俺はため息を漏らす。