三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ零



「なっ、何言ってんだよ親父」


俺は弾かれたように親父を見た。

問題発言をした親父は、
空いたグラスにウィスキーを足し
マドラーで混ぜる。

本来なら女がやってくれるが
席を立ったきり、
戻ってこないため親父がセルフでやった。


「情報収集、だけど?」


親父は涼しい顔で言い、
グラスに口をつける。

俺はため息をついた。

こんな親父を一途に愛する
クソババァ(母さんのこと)が
少し可哀想に思えた。


「クソババァに
言いつけてやろうか?」


当てつけに言うと
親父は肩をすくめた。

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